「ゴキブリ7:優れた殺虫剤とは?」
日本でよく売れ、多く使われ、よく効くと評価される殺虫剤は、速効性がポイントになるようです。
アンケートの結果なのですが、すべて、一秒でも速く虫がひっくり返るのが「よく効く殺虫剤」と判定されていたのだそうです。
でも、本当は少々ノックダウンが遅くても、確実性のあることが大切なはずです。
極端な話、殺虫剤の一撃を浴びたゴキブリが目の前から走り去って何処かへ隠れてしまっても、後で必ず死んでくれるのが良い殺虫剤であり、いくら一撃でコロリとひっくり返っても、しばらくすると蘇生(息を吹き返して)して逃げて行くのでは何にもならない訳です。
■殺虫剤に望まれる条件
殺虫剤に望まれる条件で一番大切なのは「人間には安全で虫にはよく効く」ことです。
海外で売っている虫よけスプレーの様に「マラリアになって死ぬよりは、これを使って調子が悪くなる方がマシだよ〜。強力よ〜。バグ〜ス!。」なんていうのは論外です。
駆除の対象とする害虫には有効に毒性が作用して、人やイヌ、ネコなどのペットには毒性が低い殺虫剤は、選択毒性の応用によって化合されています。
選択毒性の応用とは、哺乳動物と昆虫との生理的な違いを利用することであり、殺虫剤の透過性(体内への染み込み方)、解毒分解能力、神経作用点での毒作用の仕組みの差を利用することです。
一例として解毒酵素を取り上げてみましょう。
体内に侵入した有機リン剤を加水分解する酵素(アリエステラーゼ類)の活性は哺乳動物では高く、昆虫では低いのです。
つまり、哺乳動物では、有機リン剤のほとんどが解毒されてしまうのに、昆虫では分解をあまり受けずに神経に到達してしまうのです。
かつて、イネのニカメイチュウなどに多く使用されたパラチオンは、人と昆虫に対する毒性の強さにあまり差がなくて人間への危険性が大きく、しばしば深刻な中毒事故を起こしました。
幸い、現在、ゴキブリなどの衛生害虫に使われている殺虫剤は、人畜への危険が少なく安全性の高いものです。
よって、優れた殺虫剤の条件をまとめると、以下の様になります。
1)人畜毒性が低い。
2)殺虫力が強い。
3)残効性がある。
4)安定性が高く、経時変化が少ない。
5)臭い、刺激が少なく、しみ、汚れをつけにくいもの。
まあ、それに、価格が安ければ満点でしょうか?。
しかし、一つの殺虫成分にこれらの諸条件を望むのは、
なかなか難しく、速効性は優れているが残効性が乏しかったり、その逆であったりします。
そこで、特に日本の場合、製剤化の時、二種の殺虫成分を配合した混合剤が作られ、それぞれの長所・短所を補う方法が取られる傾向が見られます。
ゴキブリ退治に殺虫剤を使う場合も、他の衛生害虫のときと同様、目的や場所に応じて殺虫剤を選び、その特性を生かすことが大切です。
(参考文献:ゴキブリのはなし /安富和男編著/技報堂出版社)
(参考文献:害虫追い出し百科/西川勢津子、吉川翠 共著/近代文芸社)
YAMASA食品安全研究所
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