「ゴキブリ2:その歴史 」
1.三億年の時を超えて!
ゴキブリは、約三億年前の昔から地球上に存在し、
その姿を変えていないと言われていますが、実際どうなのでしょう?。
約三億年前にあたる石灰紀の後期というと、動物として初めて生活域を空中にまで広げた昆虫が大発展を遂げ、たくさんの昆虫グループが出現した時なのだそうです。
この中の一つがゴキブリです。
でも、石灰紀の次の二畳紀(ペルム紀)になると、新しく出現した昆虫グループが石灰紀の後期の昆虫グループにとって代わります。
現在も生息する大部分の昆虫の先祖は、この二畳紀に生まれたのです。
石灰紀の昆虫として絶滅を免れたのは、ゴキブリとカゲロウ、それに直羽類(バッタ・コオロギ・ナナフシの類)だけです。
つまり、ゴキブリは現存する昆虫としては、最も長い歴史を持つものと言えます。
ちなみにヒトの歴史は、おサルとごっちゃの頃から数えてもせいぜい四百万年、ヒトらしくなってからですとわずか二万年!ハエでも一億五千万年の歴史をもつのですから……。
万物の霊長と威張ってみても、この気の遠くなるほどの歴史の違い!われわれが簡単にハエやゴキブリを地球上から葬ることができないのにも、妙に納得してしまいます。
2.逆境に強いその資質!
恐竜が中生代の終わりに絶滅したのは、地球低温化説(氷河期)・大隕石衝突説・伝染病説とさまざまな説が唱えられていますが、はっきりしているのは、恐竜が滅びたという事実だけです。
つまり、三億年の間には幾度となく、ゴキブリに対しても種の保存を脅かす絶滅の危機が訪れたことは間違いありません。
ゴキブリの持つ生存に有利な特長を以下に記しましょう。
1)飢えに強い省エネ型:
ゴキブリは、そのほとんどの害虫種が飢えに対して非常に強く、水さえあれば、一番弱いチャバネゴキブリの雄で約1週間、最も強靭なワモンゴキブリの雌で実に90日の生存を記録している例があります。
その秘密は、ゴキブリを叩き潰した時に腹部から出る豆腐状の脂肪体にあります。
この脂肪体には、アミノ酸、脂肪、炭水化物などの栄養物が貯えられていると同時に、タンパク質が合成されるなど、代謝の役割をはたしています。
長期にわたって食物が採れない場合には、この栄養分が威力を発揮するのです。
2)高い学習能力:
Y字路を設け、一方の通路は暗くして電気ショックを感じる罠を仕掛け、もう一方は明るくて無害な通路とする。
そこに適当に腹の減ったゴキブリを放しますと、ゴキブリは走り出し、習性に従って暗い通路に侵入し、電気ショックを受けます。
この実験を繰り返した結果、最も学習能力の高かったゴキブリは16回、最も出来の悪かったゴキブリは118回、平均にして50回でこの学習は成立し、電気ショックを避ける行動を取り始めたのだそうです。
ゴキブリの世界にも能力の固体差があるのが面白いですね。
ちなみに、成虫よりも幼虫、雌よりも雄の方が早く学習が完了するのだそうです。
れっきとした頭脳をもっているのですね。
3)雑食、多食で好き嫌いなし:
好き嫌いなしというのは少々大袈裟で、正確には嫌いな味、においが非常に少ないというべきでしょう。
つまり、嫌いなにおいでなければ大方のものは食べられるという強みですね。
4)集合フェロモンで種族繁栄:
ゴキブリは昼間、暗くて湿気が多く暖かい場所を巣として「たむろ」しています。
そして、夜になると活動し、再び巣に戻って「たむろ」します。
それは、糞の中に含まれている化学物質(集合フェロモン)を感じると安心していられる生理作用があって、巣には糞が溜まっているから、そこに戻って来たくなるのです。
結果、同じ種の雄と雌の出会いが多くなりますので、種族が繁栄します。
また、巣に集まる固体数の限界は20匹程度であり、それ以上のものは巣分かれして行きます。
この集団の規模を大きくしないのも、危険回避には有効な手段です。
(参考文献:ゴキブリのはなし/安藤和男編著/技報堂出版 )
(参考文献:昆虫たちの「衣・食・住」学 /矢島稔著/同文書院)
(参考文献:害虫追い出し百科/西川勢津子、吉川翠 共著/近代文芸社)
ゴキブリというのは、習性だけで機械的に動き回っていると思っていましたが、大間違いでしたね。
体の構造から嗜好、生態とどれをとっても侮れない、なかなか進んだ所のある昆虫で「退治」するには手強い相手のようです。
YAMASA食品安全研究所
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