「ゴキブリ1:その実害 」
ゴキブリほど忌み嫌われる昆虫も
いないのですが、果たしてそれほど嫌われる実力があるのでしょうか?
答えはイエス。
残念ながらゴキブリは大変な実害を持っています。
1.病原体の運び屋!
ゴキブリの実害は、伝染病の病原体の運び屋である事にあります。
このような昆虫を衛生害虫と呼びますが、日本脳炎ウイルスとコガタアカイエカ、マラリア原虫とハマダラカといったような特定の病原体に対して媒介となる関係のものとは区別されます。
言わば、ハエのように機械的、もしくは偶然に病原体を運ぶからです。
ゴキブリが病原体の運び屋として危険視されるのは、脚力の強さに由来する行動力があるからです。
そして、その行動力を駆使して便所、下水溝などを歩き回り、浄化槽などに住み着き、調理場や食物の保存場所などに食べ物を求めて出没する。
つまり、病原菌などで汚染されている場所と私たち人間の生活場所を往復しているのです。
また、ゴキブリの食べ物は、人間の食べ物・腐敗したもの・汚物などに広くまたがるため、その体表や消化器官内に病原体を保有する結果となるのです。
2.どんな病原体を?
ゴキブリはどんな病原体を持っているのでしょうか?
世界各国の研究者がゴキブリから検出した病原体の具体例を以下に記しましょう。
1)細菌(バクテリア類):
ベルギーでは病院の病室で採集したチャバネゴキブリ、アメリカでは下水マンホールで採取したワモンゴキブリの消化管から、イタリアではチフス患者の家で採集したトウヨウゴキブリの脚と糞から、サルモネラ菌が検出されています。
また、アメリカではワモンゴキブリの消化管から赤痢菌、イタリアとフランスではチャバネゴキブリとトウヨウゴキブリの消化管と糞から大腸菌が見つかっています。
さらに、ゴキブリに病原菌を食べさせて、その行方を追及した実験も行われています。
ワモンゴキブリとマデイラゴキブリ(外国種)の二種にコレラ菌などを与えると伝染性を失うことなく!糞に排出されたそうです。
これまでにゴキブリから検出された細菌類は、病原性のものだけで約40種にものぼり、主なものはコレラ、ライ、腸チフス、赤痢、腸炎、下痢症、食中毒などの病原菌です。
また、実験的にゴキブリによって感染可能と判断されたものには、脳脊髄膜炎、肺炎、破傷風、結核、ジフテリアなどがあります。
★ゴキブリが実際に食中毒にかかわった事例:
ベルギーの病院の小児科病棟育児室で、サルモネラ菌による食中毒が発生し、患者の隔離などの処置を取っても新感染が二ヶ月続きました。
たまたま夜勤の看護婦さんが、チャバネゴキブリがベッドや子供の上を走り回っているのを見つけたことから、容疑者としての検査が行われ、多数のサルモネラ菌の保持が証明されました。
早速、殺虫剤によるゴキブリ駆除を実施した結果、食中毒が終息しました。
この事実は、ゴキブリが重要な衛生害虫であることを示すものです。
2)ウイルス類:
日本国内で以前、小児麻痺(ポリオ)が流行した時、ハエとゴキブリによる感染経路が疑われましたが、確証は得られませんでした。
しかし、アメリカでは、小児麻痺(ポリオ)ウイルスの4つの系統がチャバネゴキブリとワモンゴキブリから検出されています。
3)真菌(カビ)類:
ゴキブリはカビの運び屋でもあります。
カビは前述のような危険な病原性を持つ危険なものではありませんが、食品衛生上から見れば矢張り困った微生物の一つです。
これまでに、約40種のカビと6種の酵母がゴキブリの体表、体内から分離されています。
4)原生動物:
エジプト、ベネズエラ、ペルーなどで採集されたゴキブリから、アメーバ赤痢の病原体が検出されたのを始めとして、重要な病原性種4種、約90種に及ぶ非病原性原生動物が分離されています。
5)寄生虫:
ゴキブリはいろいろな寄生虫の中間宿主になったり、寄生虫卵を運んだりします。
自然界で10種以上の寄生虫がゴキブリを中間宿主にしていると報告されています。
(参考文献:ゴキブリのはなし/安藤和男編著/技報堂出版
)
いやはや、ゴキブリの恐ろしさを認識して頂こうと「実害」について解説させて頂いた訳ですが、書いている本人が何だか腹が痛くなってきそうです。
YAMASA食品安全研究所
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