ウナギ 高値続く…なぜ? 23日は土用の丑の日
(7/19)
23日の土用の丑(うし)の日を前に、ウナギの高値が続いている。小売店などは価格維持に懸命だが、一部では値上げに踏み切った。夏の風物詩だけに気になるが、その背景は?【高橋昌紀】
◇我慢比べ
「仕入れ値が例年より1割以上も高くなっている。小売価格を抑えるのが大変」。東京都大田区のスーパーで、鮮魚担当者(36)が首を振った。同店のウナギは静岡県産が980円(130グラム)。2月に既に80円値上げしており、「1000円を超えると主婦は二の足を踏む」と嘆く。
大手スーパーのイトーヨーカドーは、鹿児島産を200円、中国産は100円、それぞれ値上げした。西友も「昨年からじりじりと値上げが続き、今では10〜15%高い」(広報室)と話す。外食の専門店24店が加盟する浜松うなぎ料理専門店振興会(静岡県)の渥美正弘事務局長は「各店とも3割は利益が減っているが安易に値上げはできない。我慢比べです」と言う。
◇産卵に支障
こうした高騰は、養殖ウナギの稚魚であるシラスの不漁が原因だ。日本養鰻(ようまん)漁業協同組合連合会(静岡市)によると、04年12月〜05年4月の漁期に取れたシラスで、国内向けの養殖に出荷されたのは計19トン。豊漁だった99年12月からのシーズンのほぼ半分、05年12月からの今シーズンと比べても約6割にとどまっている。
生産者の一色うなぎ漁業協同組合(愛知県一色町)は「シラスの価格は、シーズン後半には1キロ10万円前後に下落するのが通例。それが昨年は60万円前後で推移した。卸値を上げざるを得ない」と説明する。
出荷するまでには、通常半年〜1年半の養殖期間が必要。そのため、1年以上前の不漁が今になって大きな影響を与えているのだ。さらに原油価格の高騰で、養殖用ボイラーなどの燃料費アップが追い打ちをかけた。浜値に当たる池揚げ価格は、東海地区で1キロ(5匹)2100〜2150円。昨年比100円以上も高いという。
ウナギはグアム島に近いマリアナ諸島が産卵海域で、シラスは黒潮に乗り日本列島に回遊してくることが、05年の東京大海洋研究所の調査で明らかになったばかり。不漁の原因について同研究所の木村伸吾助教授は「04年夏に同海域を数多くの台風や熱帯低気圧が通過したため、ウナギが適切な場所で産卵できなかった」とみている。
◇輸入も減少
農林水産省の統計では、05年度の国内産漁獲量は約1万9000トン。これに対し、中国、台湾から生きたウナギ約2万4000トン、加工品約4万トンを輸入しており、依存度は高い。しかし、厚生労働省は昨年8月、輸入時検査で中国産の加工品から合成抗菌剤が検出されたと発表した。中国当局の検査などの影響で、同9〜12月の加工品の輸入量は前年比で約15%まで落ち込んだ。
さらに今年5月に改正食品衛生法が施行され、細かい安全基準値が設定された。これに対応するため中国側が設備投資などに追われ、輸出が停滞し、品不足による高騰に追い打ちをかけている。
03年7月には水産総合研究センター養殖研究所(三重県)がシラスの人工生産に成功したが、実用化はまだ先。当分は天然のシラス頼みが続く。しかし、ウナギが大好物という哲学者の梅原猛さんは「多少高くても、この時期にはウナギですよ」と強調する。「万葉集にも歌われた由緒ある魚なんです。日本人にはたまらない味ですから」と話している。
(毎日新聞)
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