三重大学とデリカフーズ、ゼブラフィッシュを使った野菜の効能に関する共同研究を開始
産業技術開発機構予算の採択を受け、三重大学とデリカフーズが、
ゼブラフィッシュを用いた食(野菜)に関する共同研究を日本で初めて開始
(4/19)
三重大学大学院医学系研究科ゲノム再生医学講座薬理ゲノミクス分野田中利男教授とデリカフーズ株式会社(本社:東京都足立区、代表取締役:舘本勲武、以下デリカフーズ)は、野菜が潜在的に保有している健康への効果(機能性)を医学的に解明するための共同研究を本年5月から本格的に開始いたします。
○三重大学田中教授との連携によるメリット
野菜の持つ健康への効果を医学的に解明しようとする試みを三重大学田中教授との強力な連携により行います。田中教授研究グループは医薬品のスクリーニング法(新薬の開発において効果のある新薬候補化合物を数十万種類の化合物群から選び出す作業)の次世代技術として注目されている「ゼブラフィッシュを用いたホール・アニマル・ドラッグ・スクリーニング」に関して世界トップレベルの研究を行っています。ゼブラフィッシュはマウス、ラットの次に重要視すべき第三の実験動物として米国国立衛生研究所(NIH)が認定しており、医学の世界ではヒト疾患を研究するためのモデル動物として注目が高まっています。
ゼブラフィッシュは魚類ですが、全ゲノム配列ではヒトと80%の相同性があり遺伝子数もヒトとほぼ同じです。主要な臓器、組織の発生、構造もヒトと良く似ており、受精卵から分化して各臓器が形成される過程が透明な体を通して観察できます。また、ゼブラフィッシュは受精後72時間で主要臓器が完成し、組織の基本構造が出来上がっても体長は2ミリ程度であり小スペースで多数個体が同一飼育条件で取り扱えるため、数千、数万種類の化合物から新薬候補化合物を選び出す「ハイスループット・スクリーニング」には最適な実験動物であると考えられています。このためゼブラフィッシュの疾患モデル動物を評価系に利用すれば、疾患モデル動物の個体全体を利用して薬理作用と毒性などのプラスとマイナス効果を同時に評価しながら化合物スクリーニングが可能となる、即ち、ヒトに与える総合的な影響を予測しながら数万種類の化合物の評価が可能となるため、ゼブラフィッシュを用いた「ホール・アニマル・ドラッグ・スクリーニング」は新薬開発の成功確率を増加させる革新的なスクリーニング技術として医学分野で注目されています。また、コスト面でもマウスなどのげっ歯類実験動物を利用する「ホール・アニマル」試験に比較すると1化合物あたり1000分の1以下になることがNIHで試算されており、「ゼブラフィッシュを用いたホール・アニマル・ドラッグ・スクリーニング」が、製薬企業でも採算性が見込める現実的なスクリーニング技術であると認識されています。田中教授との共同研究は、医学分野における最新の薬の評価法である「ゼブラフィッシュを用いたホール・アニマル・ドラッグ・スクリーニング」を日本で初めて食の評価に適用するものであります。
また三重大学は、県医師会、県病院協会、県薬剤師会、県看護協会および三重県と連携することで、迅速で質の高い治験(薬の候補を健康人や患者の協力によって有効性と安全性を調べる臨床試験)の実施を支援する「みえ治験医療ネットワーク」を構築しています。今回の田中教授との共同研究では、「ホール・アニマル・ドラッグ・スクリーニング」で明らかとする野菜による健康維持・疾病予防などの効果を、三重大学が構築している「みえ治験医療ネットワーク」を活用して疫学的に検証することを計画しており、このような「薬に匹敵する疫学的研究手法」を野菜の評価に適用することで野菜が持つ健康への効果が医学的に解明できると考えています。以上のような「本格的な野菜の疫学的評価」も日本では初めての取り組みになります。
○「ホール・アニマル・ドラッグ・スクリーニング」による野菜評価のメリット
三重大学田中教授との共同研究では、野菜が潜在的に保有している抗酸化力、免疫力、解毒力など「野菜の中身」による健康への影響を「ゼブラフィッシュを利用するホール・アニマル・ドラッグ・スクリーニング」によって解明することで、野菜による健康維持・疾病予防などの効果を定量化するための「医学的根拠に基づく評価法」を確立することを目指します。野菜が潜在的に保有している健康への効果(機能性)を医学的に評価する場合、野菜による人体への影響が非常に緩やかであるため、ヒトの生涯に渡っての蓄積で結果が出るような長期間の影響を測定する必要があります。「ゼブラフィッシュ個体を用いたホール・アニマル・ドラッグ・スクリーニング」では、臓器形成までに72時間、生殖能力が完成する成魚までに数ヶ月、平均寿命が2年間という凝縮したゼブラフィッシュのライフサイクルでの評価が可能となるため、ヒト寿命80年の蓄積で出現するような緩慢な野菜による影響でも短期間で評価できる実験系が組み立てられます。このため、ヒト培養細胞による評価法、マウスなどの疾患モデル動物では検出が不可能であった「野菜による影響のようなヒト健康への緩慢な効果」の評価が可能になると考えています。
また、ゼブラフィッシュを用いたホール・アニマル・ドラッグ・スクリーニングの特徴でもある「ハイスループット・スクリーニング(多検体処理)」を活かすことで、野菜の種類と品種、産地、収穫季節などが異なる幅広い条件の野菜について評価が実施できるため、統計的に有意な解析が実現できると予想しています。
デリカフーズでは上記のような三重大学との共同研究を実施するために田中教授研究室に研究員(デリカフーズ社員)を派遣し、派遣する研究員が三重大学との共同研究を主担当者として積極的に推進します。このような共同研究体制を構築する田中教授研究室を「野菜の中身評価の基礎研究」を行うための研究拠点として活用していく予定です。尚、本共同研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による平成18年度大学発事業創出実用化研究開発事業「ホールアニマル・ドラッグ・スクリーニングの実用化研究」の予算措置に基づいて実施するものであります。
デリカフーズではこれまで抗酸化力、免疫力、解毒力など「野菜の中身」に関する分析、評価を自社主導で進めてまいりました。今回の三重大学との共同研究は、このような「野菜の中身を明らかにする活動」をより医学的根拠に基づいた活動へと高める具体策として実施するものであり、野菜による健康維持・疾病予防などの効果を「医学的・疫学的根拠に基づいて評価」する日本でも初めての取り組みであります。
デリカフーズではこのような産学連携の新しい研究スタイルによる「野菜の中身の基礎研究」を推進することで、野菜を「単なる食材として食する」から「健康で長生きを実現するために食する」という認識へと食習慣を変えていくことに積極的に取り組んでいきたいと考えています。このような取り組みを続けることで、「健康で豊かな生活様式を創出する野菜」という新たな位置づけの野菜市場の開拓にデリカフーズは貢献していく所存です。
■補足説明
デリカフーズは、持株会社として平成15年4月1日に設立し、東京デリカフーズ株式会社、名古屋デリカフーズ株式会社、大阪デリカフーズ株式会社、株式会社メディカル青果物研究所、デザイナーフーズの各社を統括しております。デリカフーズグループは、ホール野菜の販売、カット野菜の製造・販売を主たる事業としております。デリカフーズグループのデザイナーフーズ株式会社は、従来の食品分析表(五訂)ではなく、抗酸化力、免疫力、解毒力など野菜が持つ力を数値化して表現することを研究しております。
三重大学大学院医学系研究科ゲノム再生医学講座薬理ゲノミクス分野田中利男教授は、薬物作用をゲノム機能との関連で解析し、その情報を用いた医薬の開発と臨床利用の改善に焦点を合わせた学問領域である薬理ゲノミクス(Pharmacogenomics)において日本を代表する研究者であり、薬理ゲノミクスによる研究を革新的に効率化する手法として「微小モデル脊椎動物ゼブラフィッシュを利用するホール・アニマル・ドラッグ・スクリーニング技術」を開発し、新薬研究への利用を目指した研究を行っております。
(日経プレスリリース)
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