忘れつつある北海道の名産品 道産食材で越冬にしん漬を守る店
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増毛産ニシン、厚田産の大球(だいきゅう)キャベツなどを丹精込めて。
「にしん漬けに使う米麹(こめこうじ)には、乳酸菌が入っているので、ヨーグルトと同じようにお通じがよくなります。野菜不足の人にもいいですね。にしん漬けは、しょうゆを少したらして唐辛子をかけて食べるとおいしいんですよ。昔は、にしんを石油ストーブで焼いて食べたそうです。今なら、網焼きにするといいですね」
そう語るのは、札幌市北区で「山木の越冬にしん漬け」を販売する松橋久男社長。
おばあちゃん、おかあさんの味を受け継ぐのは、店主の松橋恵美子さん。夫婦で忘れられつつある北海道の味を守っている。
恵美子さんにとって、にしん漬けは当たり前のものだったが、自分の母が友人におすそ分けした日の夜中、電話がかかってきた。「こんなにおいしいにしん漬けを食べたのは初めて。どうして今までくれなかったの」と。
この言葉は恵美子さんが、「世の中の人にとって、にしん漬けの味は忘れられつつあるのでないか」と思うきっかけでもあった。
そうした経緯から恵美子さんは、母に「レシピを教えて」と頼んだが、「漬物は“生き物”だから、塩加減は自分の手と舌で覚えないと」と断られた。
にしん漬けは冬からつくり始める。北海道の厳寒期に漬物樽に手を入れて、味をみなくてはならない。母いわく「寒い中ではなくては、漬物はできないのよ」。
材料とつくり方には母譲りのこだわりがある。
添加物は一切使用せず、材料には道産食材を使用。身が引き締まり、臭みのない増毛産のニシン、生でかじっても甘いという当別産のダイコンとニンジン。厚田産の大球(だいきゅう)キャベツ。普通のキャベツは葉が薄いために、漬けるとべちゃべちゃになってしまうが、大球キャベツは葉が厚くしっかりしているため、にしん漬けに適している。
完成には5、6週間を費やす。まずダイコン干しに1、2週間。時間をかけて干すことで、水分が抜けて歯ごたえがつき、うまみの入り具合が良くなる。1週間ダイコンを下漬けし、ニシン、ニンジン、米麹を加えて3週間本漬けする。
これほどの手間暇をかける、つくり手はいまや少ない。
帯広のイトーヨーカドーで行われた催事で、にしん漬けを3日間販売した時、「ほかの店とはぜんぜん違う」と、たびたび買いに来てくれる客が何人もおり、「また来年も来てね」と言われたそうだ。
多い時の注文は100件を超える。客層は「男女別では女性が多いが、思っていたよりも男性客が多い。仕事帰りに立ち寄るサラリーマンもいる。自分ではつくれなくなったおばあちゃんからの注文もある。若い人も『おいしい』と言って食べてくれる。今の若い人は、おいしい漬物がないから食べないだけだと感じている」と恵美子さん。
最近、にしん漬けを冷凍すると甘くなることを発見し、冷凍版も販売している。「山木のしゃりしゃり越冬にしん漬け」は、小パック(100g)が525円。大パック(250g)は1,050円。通常の「にしん漬小」は(500g)2,100 円、「にしん漬大」は(1,000g)4,200 円。値段はいずれも税込みで送料は別。合計500gから発送可。送料の半分は販売者が負担する。4月からは冷凍の「山木の一夜干し塩辛」も販売予定。
4月上旬からは新千歳空港での販売を予定している。場所は空港内ターミナルアネックスビル2階にある土産店「jalux」(ジャルックス)。さらに搭乗ゲート内の店舗では試食も行う。北海道の空の下で、にしん漬けを肴にビールを一杯、ということも可能になる。【市民記者 高山】
(BNN)
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