ヨーグルトを作る代表的な乳酸菌、ブルガリア菌が発見されて今年で100年。それを記念し、プロバイオティクス(腸内の細菌バランスを整える微生物)食品としてのヨーグルトの可能性を探るシンポジウムがブルガリアの首都ソフィアで開かれた。各家庭に代々受け継がれている「わが家のプロバイオティクス」も併せて見てきた。【上杉恵子】
★期待される効用
ヨーグルトは、国連食糧農業機関(FAO)や世界保健機関(WHO)の規格で「ブルガリア菌とサーモフィラス菌で乳及び乳製品を発酵させた製品」とされている。このブルガリア菌が、ブルガリアの医学生スタメン・グリゴロフによって発見されたのが1905年だった。
乳酸菌には、コレステロールを低下させたり、腐敗菌の増殖を抑える作用がある。今回ソフィアで開かれた記念シンポジウムでは、各国の研究者が動脈硬化や胃かいよう、がんなどの予防にかかわる乳酸菌の作用について、医療面でのさまざまな可能性を発表した。
シンポジウムに参加した明治乳業食機能科学研究所の佐々木隆部長は「プロバイオティクスの定義として、生きた菌が腸に届くことが大切と言われてきたが、最近は死んだ菌でも効果があるという見解が出されるなど、乳酸菌の機能にはまだ解明されていない部分が多く、新たな可能性も期待できる」と話す。
★自家製は4割
ブルガリアの人たちはヨーグルト好きだ。国民1人当たりの年間消費量は32キロと、日本(5・1キロ)の6倍以上。都市部ではヨーグルトを作らない家庭が増えているというが、それでも年間のヨーグルト生産量は、工場生産が17万トンに対し、家庭での製造は10万トンと全体の4割近くを占める。
自家製ヨーグルトがどう作られているのか、ソフィア郊外の町ビストリツァに住むバトラチキさん一家を訪ねた。
ヨーグルト作りは妻ロシツァさん(58)の日課。毎朝、牛とヤギを飼う娘の家から、搾りたての牛乳が届けられる。これをいったん沸騰させ、35〜37度くらいまで冷ましてから陶製の容器に入れる。前日作ったヨーグルトをスプーン1杯加えて混ぜ、小さな空気穴の付いたふたをして、布製の保温カバーでくるむ。3時間ほど寝かせておけば、出来上がり。この一部がまた翌日のヨーグルトの種菌となる。
できたてを食べると、日本で市販されているものより濃厚で酸味が強い。「料理にもよく使うから、毎日200〜300グラムは平らげる」というロシツァさんに、得意の「パナギュルスキ」という卵料理を教わった。
ヨーグルトで作ったサラダソースもよく食卓に上る。本式には目の粗い布に包んで6時間ほどつるして水分を切ったものを使うが、キッチンペーパーに包んで軽く水気を絞れば十分。これに塩、ヒマワリ油(サラダ油やオリーブ油でも可)、すりおろしたニンニクなど好みの調味料を加えてアレンジする。キュウリやレタスと相性がいい。
★美容にも利用
女性たちはヨーグルトを美容にも利用する。自家製ヨーグルトでパックを作ったり日焼けした肌の手入れに使ったりするほか、ヨーグルトを使った市販の化粧品もある。
ロシツァさんは「ヨーグルトの種菌や作り方、使い方はそれぞれの家で受け継いできたもの。都市化が進んでも、その伝統が途絶えることはない」と胸を張った。
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<パナギュルスキの作り方>
《材料》(4人前)
▽卵 8個
▽プレーンヨーグルト 500グラム
▽カッテージチーズ(あればフェタチーズ) 120グラム
▽溶かしバター 100グラム
▽赤唐辛子の粉 大さじ1杯
▽酢 大さじ1杯
▽塩
《作り方》
<1>鍋に水2カップを入れて火にかけ、沸騰したら酢を加える。器に割り入れた卵を、黄身をつぶさないように鍋に入れる。ふたをし、黄身が半熟になるまで弱火にかけ、ポーチドエッグを作る。
<2>ヨーグルトとチーズを混ぜ合わせ、4枚の皿に等分に分ける。
<3>鍋から網じゃくしで卵をすくい、各皿に2個ずつのせる。
<4>赤唐辛子と塩をふりかけ、卵の上に溶かしバターをのせる。
(毎日新聞)