「ファイバーデトックス」の力 食物繊維が腸を掃除
(7/26)
「ファイバーデトックス」という言葉が広まっている。食物繊維のよさを広めようと作られた新語だ。不足しがちと言われて久しい食物繊維。最近の事情を追った。【三角真理】
◇半世紀で摂取量4割減
●きめ細かな肌
「意識して食物繊維を取っています。腸がきれいになってお肌にもいい感じがしますから」と話すのは「野菜美人」の著書もあるタレントの長谷川理恵さん(31)。間近で見る長谷川さんの肌はきめが細かくツルツルだ。しかし、モデルをしていた20代前半のころは無理なダイエットでカサカサした肌だったという。「マラソンを始めた00年から食事を大切に考えるようになりました。今、体にトラブルなしですね。海によく行きますが、潮にもまれても髪は強いし、肌は化粧水をつけなくてもいいぐらいです。夏なのでビタミンCも食物繊維も含んだバランスいい食事を取っています」と明るく語る。
では、昨晩のメニューは? 「野菜のスティックにクルミみそをつけたもの。それからワカメの酢の物。ゴマとサクラエビを散らしました。デザートはコーヒーの寒天ゼリー。海藻や寒天は腸をお掃除してくれる感じがします」。スティック野菜にはオクラ、インゲン、キクラゲなど8品種も使ったとか。このほか煮物なども食卓に並んだらしい。「食物繊維は野菜に入っていますし、ワカメや寒天には多いですよね」と食物繊維充実の食事だ。
ところで、日本人は平均的にどれほど食物繊維を取っているのだろう。
03年の国民健康・栄養調査によると、国民の1日平均摂取量は14・3グラムで、摂取の目標(約20グラム)の7割ほどにとどまっている。大妻女子大の池上幸江教授(栄養学)の算出では、1951(昭和26)年には平均23・25グラム摂取していた。当時に比べ今は約4割減。摂取がなかなか増えないのはなぜか。「以前は穀物から多くを摂取していました。それがごはんを食べる量が減ったうえ、白米はきれいに精白され、摂取しにくくなったのです」(池上教授)
こうした状況に今年2月、医師らが発起人となり学術団体「ファイバーアカデミア」を設立した。食物繊維の摂取を啓発するためホームページなどで情報を流している。食物繊維の働きを分かりやすく伝えるため、会が作った新語が「ファイバーデトックス」だ。発起人の一人、松生(まついけ)クリニック(東京都立川市)の松生恒夫医師(内科)は「食物繊維は腸内にたまった老廃物を排せつさせる働きがある。そのイメージから作った言葉です」と説明する。ファイバーは「食物繊維(ダイエタリーファイバー)」、デトックスは「解毒」を意味する。
◇肌に行きわたるビタミンC
やはり会の発起人の一人で肌の健康面から食物繊維の必要性を強調するのは、東京女子医大の大木理香医師(美容外科)。食物繊維摂取とビタミンC吸収率の関係を示すため昨年11〜12月、20〜40代の男女10人を対象にデータを集めた。実験前、10人にビタミンCの顆粒(かりゅう)(1000ミリグラム)を飲んでもらい、1時間後の血中のビタミンC濃度を測ると約40%上がっていた。
次にこの10人に、食物繊維7・5グラム入りのお茶500ミリリットルを1日1本3週間飲み続けてもらい、同様にビタミンC顆粒を飲み1時間後に血中濃度を測ると、今度は70%増と、3週間前よりも吸収率が上がった。「食物繊維を十分とったことで腸内の老廃物を排出し、腸の吸収機能が回復しビタミンCの吸収率が上がったのでしょう」と分析。「ビタミンCはしみを薄くするなど肌の健康に重要。食物繊維を十分に取ることで皮膚に必要な栄養が行きわたるのです」(大木医師)
●白米プラス麦
「食物繊維」の文字は外食産業でもにぎわう。昨春からファミリーレストラン「デニーズ」では全メニューに食物繊維量を記している。渋谷公園通り店を訪ねた。注文したのは「食物繊維No1」のマークが付いた「夏野菜と鶏挽(ひ)き肉のカレー」(900円)と、「このサラダも食物繊維が豊富です」と店の人が勧める「農園風 焼き野菜サラダ〜夏」(880円)。カレーにはタマネギ、カボチャ、オクラなど野菜12種が入り、食物繊維量9・3グラム。サラダはオクラやホウレンソウなど12種入って食物繊維5・1グラム。二つ食べて、40代女性の摂取目標量(17グラム)の約85%を取れた計算だ。
柿安本店(三重県桑名市)は先月開店した東京・日比谷のビュッフェレストラン「柿安三尺三寸箸ヌーベル店」に、「デトックス」コーナーを作った。「体内浄化の意味で『デトックス』の言葉を使いました。食物繊維豊富な海藻や豆類などの料理を並べています」と同社販促担当の安藤真由美さんは話す。
食品業界も熱心だ。アサヒ飲料はペットボトル1本に7・5グラムを含む「食物繊維力 十六茶」を、ロッテは1箱に食物繊維10グラムを含んだチョコレート「ゼロ」を発売している。自宅でも食物繊維をしっかり取りたい。池上教授は「ごはんに麦を加えて炊くと効率的に食物繊維を取れます」と勧める。食物繊維は白米(100グラム中0・5グラム)より、大麦(同約9グラム)に豊富だ。
料理は手早いという長谷川さんに簡単メニューを聞いた。「サラダ風ひじきはどうですか。水でもどしたひじきをさっとゆでて、黒酢とゴマ、しらすをかけます」。干しひじきは100グラム中に食物繊維を約43グラム含む。「デザートにはきな粉ヨーグルト。ヨーグルトにきな粉、メープルシロップ、砕いたピスタチオナッツをかけます。大事なのは、おいしく取り入れることです」。この姿勢を見習いたい。
(毎日新聞)
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