南の食材、北へ 栽培技術の向上・温暖化で (1/23)
南国生まれのニガウリやマンゴーの産地が本州に広がり、暖水を好むゴマサバが三陸沖でも取れる。農作物や魚介類で新たな産地が登場している。栽培技術の向上に加え、気温と海水温の上昇も影響しているかもしれない。農林水産省は、温暖化が生産の現場にどんな影響を与えるか研究に乗り出している。
沖縄ブームで人気が出た夏野菜のゴーヤー。ニガウリともツルレイシとも呼ばれ、豚肉と豆腐といためた料理や天ぷら、酢の物に使われる。栽培適温は15度以上。
90年当時、生産量の98%を沖縄と九州で占めたが、今では近畿や関東、東北まで広がる。農水省野菜課は「栽培しやすい上、消費量が増えたためではないか」と話している。
99年から栽培を始めたばかりの福島市大波では昨夏、35戸が42トン出荷した。栗原久子さん(67)は「冷害を受けなかったことが幸いした。さらに増えそう」と話す。福島市では、平均気温の平年値が、この30年間で0.5度上昇し、12.8度になった。
熱帯の果物マンゴーもかつては沖縄が産地だった。99年には計1406トンの生産量のうち、占める割合は8割に下がり、宮崎が188トン、愛知が3トン、和歌山4トンと産地が分散化している。
果樹のモモは福島県までが主産地だった。秋田県北部の鹿角市は今、モモの産地づくりを進めている。94年ごろ7戸だった栽培農家は105戸に増えた。出荷グループの代表金沢輝視さん(59)は「リンゴとモモという組み合わせは珍しい」と宣伝する。
温暖化による被害も出ている。愛媛県明浜町で、仲間と100ヘクタールのミカン園を栽培している片山元治さん(54)は「冬でも木に樹液が流れるため害虫がつきやすくなった。雑草も増え、農薬無しで栽培することが大変になった」と嘆く。
農水省企画評価課の鈴木良典課長補佐は「研究では2030年代に平均気温が九州で1.9度、北海道で2.6度上昇するという予測がある。農作物の研究の主テーマは耐寒性の向上だったが、これからは高温対策も重要になる」と話す。
魚も地域によって漁獲量が変化し、分布海域が北に広がる例がここ数年、目立つ。
冬の味覚「寒ブリ」の日本海での漁獲量は、冬より春先が多くなる現象が見られる。福井県では01年4、5月の春を中心に約160トン取れたが、同年10月から翌年3月の間は15トンだけ。昨年春も210トン取れたが同年10月以降は、2.5トンにとどまっている。北海道の東沖ではこれまでなかったカタクチイワシの漁場ができ、02年9、10月だけで約3万トンも水揚げされている。ゴマサバだと主漁場が千葉・房総沖までだったのが東北地方の常磐、三陸沖に北上している。
水産庁研究指導課の和田時夫研究企画官(農学博士)は「水温は周期的に上昇下降を繰り返すが、地球温暖化が進んでいる以上、以前ほど下がらない。今後、漁場が大きく変わることが考えられる」と指摘している。
農水省が始めた地球温暖化についての研究は02年度から5年計画で、農林業や漁業について、どんな影響が起きるか調べる。生産現場で二酸化炭素の放出を減らす技術の開発もめざす。(朝日新聞)
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